動物病院を受診されるきっかけとなる疾患としては、皮膚トラブルが多くの割合を占めています。
皮膚の病気は決して珍しいものではありませんが、見た目が似たような皮膚病でも、その原因は様々であるケースが多く見受けられます。例えば、皮膚自体に問題があるものや、体質・内分泌疾患・寄生虫などです。
当院では、症状に合わせてその時に必要な検査をお勧めし、早期の完治を目指します。皮膚病の治療中は、治りが悪い・再発を繰り返す・薬の服用が止められないなど、飼い主様が不安になりがちです。飼い主様の不安を少しでも解消できるよう、皮膚病との付き合い方について、ご相談を承ります。
皮膚病の診察をスムーズに行うためにいくつかの注意事項がございます。可能な範囲でご協力いただければ幸いです。
可能であれば、診療日より前の1週間は、シャンプーは避けてください。
皮膚病の症状が現れたおおよその時期についてお聞かせください。
アレルギー性皮膚炎の原因となるアレルギーは3種類に大別されます。このうち、アトピー性皮膚炎については近年効果の高い薬が開発され、治療の質が大きく向上しました。また、当院では、薬やシャンプーによる一般的な治療のほか、インターフェロン療法・漢方サプリメント・スキンケアによる治療を行っています。
犬アトピー性皮膚炎
アレルギーの原因であるアレルゲンが皮膚や粘膜などから体内に入り込み、免疫機能が過剰反応を起こすと発症します。
主なアレルゲンとしては、ハウスダストや花粉が一般的です。
食物有害反応(食物アレルギー)
ある特定の食べ物によって発症します。
原因となっている食べ物を突き止めることができれば、食事管理によって症状を抑えられます。
ノミアレルギー
体に寄生したノミの唾液に対して、アレルギー反応を起こした場合に発症する皮膚疾患です。ノミを予防することである程度は防ぐことができます。ノミダニ予防のお薬にはスポットタイプ・飲み薬タイプがあり、最近は3ヶ月効くタイプのお薬もあります。一度ご相談ください。
細菌や寄生虫・真菌などの病原体となる微生物が、ペットの皮膚に感染した結果、引き起こされる病気です。
代表的な病気としては、膿皮症やマラセチア性皮膚炎・ニキビダニ症・疥癬・皮膚糸状菌症などが挙げられます。
なかには、ペットから人へうつってしまう病気もありますので、濃厚接触を避けるなどの注意が必要です。
膿皮症
膿皮症は、ブドウ球菌の感染が原因で発症します。
皮膚病の中では比較的多く見られ、その他の皮膚病と合併して発症するケースがあり、症状も様々です。
マラセチア性皮膚炎
マラセチアと呼ばれる真菌の感染によって発症します。
マラセチアは皮脂の多い皮膚を好み、その他の皮膚病と併発する場合が多いです。
疥癬
ヒゼンダニと呼ばれるダニが原因で発症します。痒みを強く感じることが特徴で、他の動物にもうつる危険性があります。人には感染しませんが、接触することで湿疹や痒みを引き起こします。飼い主様にも痒みが出るような場合はお伝えください。
ニキビダニ症(毛包虫症)
ニキビダニと呼ばれるダニが発症の原因となります。
健康な犬の皮膚にもニキビダニは存在しており、免疫力が低下した際や病気などで免疫力が低下した際に発症するケースが多いです。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌と呼ばれる真菌が皮膚へ感染することで発症します。
人にもうつる可能性がありますので注意が必要です。治療には長期を要するため、途中でよくなっても治療を中止せず、必ず再検査を行いましょう。